休業手当の計算に必要な平均賃金

2020/07/08 ブログ

今回のテーマは休業手当の計算に必要な「平均賃金」です。

 

新型コロナ感染症の影響で休業手当を支給する会社も多いかと思います。

会社の都合により従業員を休業させた場合には、休業させた所定労働日について、平均賃金の60%以上の賃金を支払わなければなりません。これが休業手当です。

したがって、その平均賃金の算出方法を理解しておく必要があります。

今回は平均賃金の算出方法について確認していきましょう。

 


 

 

この記事でお伝えすること

 

 

・平均賃金はどんなときに使うの?

・平均賃金の算定方法(原則)

・算定すべき事由とは

・以前3か月とは

・賃金総額とは

・平均賃金の算定方法(最低保証)

 


 

 

平均賃金はどんなときに使うの?

 

 

平均賃金は次のようなケースに該当するときに使います。

 

・労災保険で休業(補償)給付を受けるとき

※平均賃金の8割が休業(補償)給付金として支給されます。

 

・従業員を解雇するときに予告にかわる解雇予告手当を支払うとき

※平均賃金の30日以上を支払うこととされています。

 

・有給休暇を取得した日に支払う賃金

※有給休暇を取得したときに支払う賃金は、「通常働いた賃金か社会保険の標準報酬日額か平均賃金のいずれかを選択することができます。

 

・減給

就業規則の懲戒事由に該当し減給するときは、平均賃金の半額までとされています。

 

・会社都合で休業させる場合

※1日の休業につき平均賃金の6割以上支払うこととされています。

 


 

平均賃金の算定方法

 

①原則

平均賃金を算定すべき事由の発生した日(例えば休業させた初日)以前3か月間に、その従業員に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額が平均賃金です。

 

 

算定すべき事由とは

 

ここでいう算定すべき事由とは、どういうことでしょう。

それぞれのケースに当てはめてみましょう。

 

・労災保険で休業(補償)給付を受けるとき:事故の起きた日または診断によって疾病が確定した日

 

・従業員を解雇するときに予告にかわる解雇予告手当を支払うとき:解雇通告した日

 

・有給休暇を取得した日に支払う賃金:有給取得した日の初日

 

・減給:懲戒を伝えた日

 

・会社都合で休業させる場合:休業日の初日

 

 

以前3か月とは

 

ここでいう以前3か月とは

上記の算定事由の発生した日は含みません。その前日から遡って3か月です。

賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡って3か月となります。

賃金締切日に事由発生した場合は、その前の締切日から3か月となります。

 

次の期間がある場合は、その日数と賃金額はその期間と賃金総額から控除します。

 

・業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間

・産前産後休業期間

・会社都合で休業した期間

・育児・介護休業期間

・試用期間

 

 

賃金総額とは

 

 

ここでいう賃金の総額とは、基本給だけでなく各手当などを含め、社会保険料や所得税などを引く前の金額です。

ただし、慶弔見舞金などの臨時に支払われた賃金や賞与などは含みません。

 

注意点は、通勤手当を6か月定期代として支給しているようなケースです。その場合は1ヶ月に按分して計算する必要があります。

 


 

平均賃金算出事例1

 

 

計算事例で確認してみましょう。

 

例1)賃金締日:毎月20日 休業初日6月10日

5月分(4/21~5/20)賃金:基本給20万円、通勤手当1万円

4月分(3/21~4/20)賃金:基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当2万円

3月分(2/21~3/20)賃金:基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当1万円

平均賃金=(21万円+23万円+22万円)÷(30日+31日+28日)≒7,415円

 

※3か月の賃金総額とは休業させた初日の直近の賃金締日より3か月間の賃金総額です。

※銭未満の端数が生じた、これを切り捨てることは差し支えありません。

 

上記の計算方法が原則となりますが、この計算方法だと平均賃金がかなり低くなってしまうケースがあります。

例えば時給制や日給制などで出勤日数が少ない方です。

このような方たちが不利にならないよう、最低保証のルールがあります。

 


 

②最低保証

賃金の一部が日給制や時給制の場合は、平均賃金を算定すべき事由の発生した日(例えば休業させた初日)以前3か月間に、その従業員に対し支払われた賃金の総額を、その期間の労働日数で割った金額の60%が最低保証となります。

※①で計算した金額を最低保証が上回る場合は、最低保証金額が平均賃金となります。

 

①原則と②最低保証は、

その期間の「総日数で割るのか」、その期間の「労働日数で割るのか」の違いです。

 


 

平均賃金算出事例2

 

 

こちらも計算事例で確認してみましょう

例2)賃金締日:毎月20日(時給制) 休業初日6月10日

5月分(4/21~5/20-労働日数15日)賃金:基本給12万円、通勤手当6千円

4月分(3/21~4/20-労働日数 5日)賃金:基本給 4万円、通勤手当2千円

3月分(2/21~3/20-労働日数15日)賃金:基本給12万円、通勤手当6千円

①原則で計算:(12.6万円+4.2万円+12.6万円)÷(30日+31日+28日)≒3,303円

②最低保証で計算:(12.6万円+4.2万円+12.6万円)÷(15日+5日+15日)×0.6≒5,040円

 

平均賃金=①と②を比較すると②のほうが高いので、この場合の平均賃金は5,040円になります。

 


 

例えば休業手当の支払は、平均賃金の6割以上支払えば良いので、

この場合は5,040円×0.6=3,024円 

1日に休業に対し、最低3,024円以上支払えば休業手当の支払として認められます。

 

よく勘違いされるのが、最低保障で6割掛けているので、それが休業手当の6割だと思ってしまうケースです。

最低保障を使う場合は、下記のとおりです。

 

休業補償給付:賃金総額÷労働日数×6割×8割

休業手当:賃金総額÷労働日数×6割×6割以上

 

間違えないようご注意ください。