平均賃金算定期間に休業期間が含まれるケース

2020/07/14 ブログ

新型コロナウィルス感染症の影響で休業手当の支払いをする企業が多いかと思います。

 

そこで今回は平均賃金算定期間に休業期間が含まれるケースについて、その計算方法を確認していきましょう。

 


 

 

この記事でお伝えすること

 

・休業時の分子となる賃金総額、休業時の分母なる総日数

・休業が続く場合と断続する場合の算定事由とすべき日

・休業日数の考え方

 


 

 

平均賃金は

算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額を

その3か月間の総日数(暦日)で割って算出します。

 

「算定すべき事由の発生した日」とは、簡単に言えば「平均賃金を使うこととなった出来事があった日」です。

(例えば休業開始の初日や解雇通告した日など)

これが原則の計算方法です。

 

今回は原則の計算方法ではなく、平均賃金の算定期間に休業期間が含まれていた場合の計算方法です。

例外ケースですね。

 

ちなみに原則の詳しい計算方法を知りたい方は、こちらの記事(休業手当の計算に必要な平均賃金)をご確認ください。

 

 

 

では早速本題にいきましょう。

 


 

 

休業時の分子の賃金

 

繰り返しになりますが、平均賃金の算出は、

算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額が分子

その3か月間の総日数(暦日)が分母

となります。

 

この分子となる賃金の総額に休業手当が含まれ、分母となる総日数に休業日数が含まれる場合はどのように計算されるのでしょうか

 

 

結論から言えば、

・3か月間の賃金の総支給額から休業手当を除く

・3か月の総日数(暦日)から休業させた期間を除く

ことになります。

 

詳しくみていきましょう。

 

労基法第12条において、

分子となる総支給額から除く賃金は、

 

・臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)

・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

・労働協約で定められていない現物給与

とされており、

ここでは、「休業手当」は入っていません。

 

 

次に、分母の総日数から除く期間は

 

・業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間

・産前産後休業期間

・使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間

・育児・介護休業期間

・試みの使用期間(試用期間)

とされており、

ここでは、会社都合の休業期間は除くことになっております。

 

したがって分母の総日数から「休業期間」は控除して計算することになります。

 

 

さらに労基法第12条の条文をみると、

 

「次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する

とされており、

除外するのは日数だけでなく、その期間中の賃金も控除するとされているため、分子の総支給額の賃金からも除外することとなります。

 

 

つまり、

賃金の総額からは「休業手当」を除き

総日数からは「休業期間」を除いて、平均賃金を算定することになります。

 

 

事例で確認してみましょう。

 

例1)

新型コロナウィルス感染症の影響で7月10日より再休業させるため平均賃金を算出

 

賃金締日:毎月20日 

(5月6日から5月20日の15日間休業実施)

 

・6月分(5/21~6/20)出勤日数:21日 賃金:基本給20万円、通勤手当1万円

・5月分(4/21~520)出勤日数:10日、休業日数10日 賃金:基本給10万円、休業手当10万円、通勤手当1万円

・4月分(3/21~4/20)出勤日数:21日 賃金:基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当1万円

 

(原則)

平均賃金=(21万円+21万円‐10万円+22万円)÷(31日+30日‐15+31日)=

54万円÷77日≒7,013円

 

(最低保証)

平均賃金=(21万円+21万円‐10万円+22万円)÷(21日+10日+21日)×0.6=

54万円÷52日×0.6≒6,231円

 

この場合、

平均賃金は原則の計算のほうが高いので、7,013円となります。

 


 

 

休業が続く場合と断続する場合の算定事由とすべき日

 

 

さて、計算方法は理解できたと思いますが、

休業が続く場合、「算定事由とすべき日はいつになるのか」という問題が出てきます。

 

例えば、賃金の締日が末日で、4月1日から6月30日まで全部休業したとします。

このケースの場合、算定事由とすべき日は4月1日となりますが、締日を迎えるごとに、5月1日、6月1日をそれぞれ「算定事由とすべき日」として平均賃金を再度算出する必要があるのでしょうか

 

 

キーワードは「ひとつの塊」です。

 

この場合は休業が続いていれば、ひとつの塊としてみます。

つまり4月1日から6月30日までをひとつの休業期間としてみるため、

5月の休業手当も、6月の休業手当も、4月1日を算定事由とすべき日として算出した平均賃金を使います。

 

 

それでは、次のようなパターンはどうでしょう。

賃金の締日は末日

4月1日から4月15日まで休業。4月16日から休業解消。

5月6日から5月20日まで再休業。

 

この場合は、各休業をひとつの塊としてみます。

つまり4月1日から4月15日までの休業は4月1日を算定事由とすべき日

5月6日から5月20日までの休業は5月6日を算定事由とすべき日

として平均賃金を算出します。

 

 


 

 

休業日数の考え方

 

さて、平均賃金算出の際、休業期間は総日数から控除することになりますが、暦日から控除する休業期間の考え方についても確認しておきましょう。

 

休日を除いた休業した実日数を控除するのか?

休日も含めた休業日数を控除するのか?

 

ここでもキーワードは「ひとつの塊」です。

 

暦日から控除するのは、休業期間中に休日が含まれていれば、その休日も含めた日数を控除します。

ひとつの塊ですね。

 

例えば土日が休日の会社で、

5月6日から5月20日まで休業したとします。

下図のような暦だったとしましょう。

 

5月

        1日 2日 3日
4日 5日 6日 7日 8日 9日 10日
11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日
18日 19日 20日 21日 22日 23日 24日

 

休業させた日数は、土日を除いた11日間となりますが、

暦日から控除するのは「ひとつの塊」なので休日の土日を含めた15日間となります。

 


 

いかがでしたでしょうか

今回は一部休業手当を支給している企業も多く、問い合わせの多かった内容を取り上げてみました。

休業手当が支給されている月があれば、「賃金も日数も除外して算定」と覚えておきましょう。