【新型コロナ感染症関連】休業時の月額変更の取扱い

2020/08/11 ブログ

新型コロナ感染症により休業を余儀なくされ、休業手当を支払っている企業も多いかと思います。

 

これまで休業手当を支払うケースというのは、どの企業もそこまで多くはなかったのではないでしょうか。

 

当事務所にも休業手当に関連する問い合わせが非常に増えております。

中でも、ここ最近は「休業手当支払い時の月額変更の取扱い」について問い合わせが多いです。

そこで今回は「休業時の月額変更の取扱い」について取り上げてみようと思います。

 

 

月額変更の基本的な内容については、こちらの記事で書いていますのでご確認ください。

 

 

 

また休業時の算定基礎届の取扱いについては、こちらの記事で書いていますのでご確認ください。

 

 


 

この記事でお伝えすること

 

●低額な休業手当が支払われた時の月額変更について

●休業が解消された場合の取り扱い

●よくある問い合わせ内容

 ・一部休業したとき

 ・休業時の起算月の考え方

 ・休業時の途中で休業手当の支給率が変更したとき

 ・休業時に昇給、降給があったとき

 ・休業手当100%支給だが通勤手当が支払われなくなったとき

 


 

 

低額な休業手当が支払われた時の月額変更について

 

 

月額変更のルールは、

①昇給(降給)などにより固定的賃金が変更される

②賃金変更後の3か月間の給与総額の平均が、これまでの標準報酬月額と比べ「2等級以上」変わっている。

③賃金変更後の3ヶ月とも、1カ月17日以上出勤している。(または17日以上の賃金がでている。)

この3つの条件を満たした場合に該当します。

 

しかし一時帰休(休業)の場合は、その取扱いが変わります。

 

休業時は、固定的賃金が変更されなくても月額変更に該当するケースがあります。

 

条件は

休業のため、継続して3か月を超えて通常の報酬よりも低額の休業手当等が支払われていること

 

この場合は、「低額な休業手当を支払われたこと」を固定的賃金の変動とみなし、月額変更の対象とする扱いとなります。

 

 

例えば 下記のようなケースが該当します。

 

標準報酬月額300 給与額30万円

6月から会社都合の休業に入り、休業手当として80%支給されることとなった。

 

支給額 補足
5月 30万円 通常の報酬
6月 24万円(休業手当) 給与額の80%
7月 24万円(休業手当) 給与額の80%
8月 24万円(休業手当) 給与額の80%

9月も引き続き休業

 

・(24万円+24万円+24万円)÷3=24万円 標準報酬月額240で2等級以上の差が生じます。

・17日以上の休業手当が出ている

 

月額変更ルールの②と③はクリア。

6月より低額な休業手当の支払が開始されているので、これを固定的賃金の変動とみなし月額変更となります。

 

9月の社会保険料より標準報酬月額240となります。

 


 

休業が解消された場合の取り扱い

 

休業が解消され、継続して3か月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合、固定的賃金の変動がなくても月額変更の対象となります。

 

低額な休業手当が支払われた時の逆の考え方です。

 

 

先程の例を使って説明しましょう。

 

標準報酬月額300 給与額30万円

6月から会社都合の休業に入り、休業手当として80%支給されることとなった。

 

支給額 補足
5月 30万円 通常の報酬
6月 24万円(休業手当) 給与額の80%
7月 24万円(休業手当) 給与額の80%
8月 24万円(休業手当) 給与額の80%

9月も引き続き休業が続く 

月額変更 標準報酬月額240に変更

 

10月に入り、休業解消

支給額 補足
10月 30万円(休業解消) 通常の報酬
11月 30万円 通常の報酬
12月 30万円 通常の報酬
1月 30万円 通常の報酬

 

・低額な休業手当が支給されたことにより、9月に標準報酬月額300から240へ月額変更となった。

・10月に休業が解消され、通常の報酬30万円が支払われるようになった。

・1月も通常の給与が支払われたことにより、3ヶ月を超えて通常の報酬が支払われた。

・通常の報酬が支払われた10月を固定的賃金の変動月とみなし、3ヶ月間の給与総額の平均が30万円となる。

・標準報酬月額240から300と2等級以上の差が生じたため、1月の月額変更に該当。

 

となります。

 

通常の報酬に戻った時は、月額変更に該当する可能性が高いので、手続き漏れのないようご注意ください。

 


 

休業時の月額変更 まとめ

 

・「低額な休業手当が支払われた」ときは、月額変更のルールの「固定的賃金の変更」とみなす。

 

・低額な休業手当の支払いが開始した月を起算月とする

 

・起算月より3ヶ月間の給与総額の平均が、これまでの標準報酬月額と比べ「2等級以上」差が生じていれば、月額変更に該当

 

・休業が解消され、継続して3か月を超えて通常の報酬が支払われるようになった場合も、固定的賃金の変更とみなす。「2等級以上」差が生じていれば、月額変更に該当。

 


 

それでは、休業時の月額変更の原則を確認できたところで、

ここからは「問い合わせの多い内容」についてQA方式で確認していきたいと思います。

 

 

一部休業について

 

Q、休業について、固定的賃金の変動とみなしてもらえるのは全部休業したが対象となるのか?それとも一部休業でも対象となるのか?

 

 

A、これについては、低額な休業手当が支払われていれば、一部休業でも対象となります。

 

事例を使って解説します。

標準報酬月額300 給与額30万円

6月から一部会社都合の休業に入り、休業手当として80%支給されることとなった。

 

支給額 補足
5月 30万円 通常の報酬
6月 基本給15万円+休業手当12万円=27万円 10日出勤、10日休業
7月 基本給7.5万円+休業手当18万円=25.5万円 5日出勤、15日休業
8月 基本給7.5万円+休業手当18万円=25.5万円 5日出勤、15日休業

9月も引き続き一部休業が続く

 

(27万円+25.5万円+25.5万円)÷3=26万円 

標準報酬月額260で2等級以上の差が生じた

 

したがって9月の月額変更に該当します。

 


 

 

低額な休業手当の起算月について

 

 

Q、休業に伴う月額変更は、低額な休業手当が支払われて3か月を超えることが条件だが、例えば月の途中で休業が開始された場合は、いつの時点から3か月を起算するのか

 

例えば、末日締め末日払いの会社において、5月10日より休業を開始した場合。

 

 

A、3か月の起算は、暦日ではなく月単位で計算することになります。

つまり5月10日より休業を開始した場合でも5月1日から起算します。8月1日で3か月を超えることになり、5月から7月の報酬を平均して2等級以上差が生じれば、8月に月額変更となります。

 

ただし、8月1日時点で休業が解消していれば、3か月を超えないため月額変更には該当しません。

 

 


 

 

休業中に休業手当の支給率が変更したとき

 

 

Q、休業中に休業手当の支給率が変更した場合は、月額変更の対象となりますか?

 

A、月額変更の対象となる。

 

事例を使って解説します。

標準報酬月額300 給与額30万円

6月から会社都合の休業に入り、休業手当として90%支給されることとなった。

 

支給額 補足
5月 30万円 通常の報酬
6月 27万円(休業手当) 給与額の90%
7月 27万円(休業手当) 給与額の90%
8月 27万円(休業手当) 給与額の90%

 

低額な休業手当が支払われた3か月の報酬の平均が1等級の差。標準報酬月額300→280

月額変更に該当せず。

 

9月より休業手当の支給率を80%に変更

支給額 補足
9月 24万円(休業手当) 給与額の80%
10月 24万円(休業手当) 給与額の80%
11月 24万円(休業手当) 給与額の80%

12月も引き続き休業

 

支給率が変更された9月が起算月となり、低額な休業手当が支払われた3か月の報酬の平均で2等級差が生じたため、月額変更に該当。

 

したがって12月の社会保険料より標準報酬月額240となります。

 


 

休業中に昇給(降給)があったとき

 

Q、休業中に昇給があった場合は、月額変更の対象となるか

 

A、月額変更の対象とならない。

休業手当の支払われた月に昇給があった場合、その昇給が正確に報酬月額に反映されないため、休業手当が支払われなくなった月から起算して月額変更を行うことになります。

 

事例を使って解説します。

標準報酬月額300 給与30万円

6月から会社都合の休業に入り、休業手当として80%支給されることとなった。

7月に30万円から33万円に昇給。ただし7月以降も休業手当80%支給。

 

支給額 補足
5月 30万円 通常の報酬
6月 24万円(休業手当) 給与額の80%
7月 26.4万円(休業手当) 昇給後33万円の80%
8月 26.4万円(休業手当) 給与額の80%
9月 33万円

休業解消
通常の報酬(昇給後)

10月 33万円 通常の報酬
11月 33万円 通常の報酬

 

6月より低額な休業手当が支払われたが、3か月を超えないため、9月月変に該当せず。

 

7月より昇給したが、休業手当が支払われているため、10月月変に該当せず。

 

9月より休業解消。昇給後の給与が満額支給されることとなったため9月を起算月とし、3か月の報酬の平均で2等級差が生じたため、月額変更の該当

 

したがって、12月の社会保険料より標準報酬月額340となります。

 


 

休業手当100%支給だが通勤手当が支払われなくなったとき

 

Q、5月より会社都合の休業を開始したが、休業手当を給与の100%支給とした。

しかし6月より休業中は出勤がないので通勤手当の支給をしないと決定。

そのほかの給与は引き続き100%支給とした。

下記のケースは月額変更の対象となるのか?

 

標準報酬月額220 基本給17万円 家族手当2万円 通勤手当2万円

 

支給額 補足
5月 基本給17万円+家族手当2万円+通勤手当2万円=21万円 通常の報酬
6月 基本給17万円+家族手当2万円=19万円

給与額の100%
通勤手当カット

7月 基本給17万円+家族手当2万円=19万円 給与額の100%
通勤手当カット
8月 基本給17万円+家族手当2万円=19万円 給与額の100%
通勤手当カット

9月も引き続き休業

 

A、100%支給でも月額変更の対象となる。

基本給が100%支給される場合でも、通勤手当や役職手当などの就労していたのであれば受けられる報酬がカットされるような場合には、低額な休業手当に該当します。

ただし残業手当については、実際に残業を行った場合に初めて受けられる報酬なので、残業手当のカットのみをもって低額な休業手当には該当しません。

 


 

いかがでしたでしょうか?

今回は当事務所にも問い合わせの多い、「休業時の変更の取扱い」について取り上げてみました。

休業時の月額変更は解釈の仕方で、間違って手続きしてしまうケースも多いです。

判断に迷ったときは、管轄の年金事務所や顧問の社労士事務所に問い合わせて確認してください。