テレワーク導入のための5つのステップ

2020/08/22 ブログ

新型コロナウィルスの影響をきっかけにテレワークを導入した企業も多いかと思います。

当事務所もそのうちの1社です。

 

 

コロナの影響はむこう2年続くとも言われています。

なかば強制的・実験的にテレワークを始めてみたが、ウィズコロナ・アフターコロナで本格的に導入を図ろうという企業も増えてくると思います。

 

そこで今回は、本格的にテレワークを導入する際に抑えておくべきポイントについて確認したいと思います。

 

 

テレワークを実施するには、自宅で仕事ができる環境さえ整えれば良いというわけではありません。

 


 

この記事でお伝えすること

 

・テレワーク導入の目的

・テレワークできる業務の洗い出し

・テレワーク業務に必要となる通信機器やシステムの選定、決定

・テレワーク時の労務管理方法を確認する

・テレワーク規程を作成する

 

このようなステップでテレワーク導入を進めていきます。

 


 

テレワーク導入の目的

 

<ステップ1>

テレワーク導入の目的を明確にしましょう。

 

なぜ、テレワークを導入するのか?

今回は、新型コロナウィルス感染症がきっかけで、やむなく導入した企業が多いかもしれません。

しかしすでに導入している企業も含め、改めて「なぜテレワークを導入するのか」

その目的を明確にしておくことをおススメします。

 

なぜなら目的が明確でなければ、テレワークの効果がぼやけてしまうからです。

テレワークの目的と効果は同じです。テレワークを通してどのような効果を期待するのかを明確にしましょう。

 

 

例えば今回の新型コロナ感染症によるテレワークの目的は、

「社員の安全」と「事業の継続」などが挙げられるでしょう。

つまり新型コロナ感染のリスクを抑えることです。

これだけを目的としている場合、新型コロナが落ち着けばテレワークは終了となるでしょう。

 

 

最初はコロナをきっかけに導入してみたけれども、自宅でも問題なく仕事が進められることがわかった。

企業側からは「通勤費を削減することができる」

労働者側からは「通勤時間削減によりプライベートの時間を多く取ることができる」

といった理由で、

その目的が変わりテレワークを継続するケースもあるかと思います。

 

 

目的は企業により様々かと思いますが、

テレワーク導入により考えられる効果を挙げてみます。

目的を明確にする際の参考にしてみてください。

 

 

〇コスト削減

・通勤がなくなることによる移動時間、通勤費の削減

・紙、スペースなどオフィスコストの削減

 

当事務所のお客様で

・オフィスよりも自宅での仕事の割合が増えた(自宅でもオフィスと変わらず仕事が進められる。)

・取引先との打合せもWeb会議が増えた

・オフィスに高い賃貸料を支払う必要もない

このような理由で、オフィスを都心から郊外へ移したケースもあります。

 

 

〇非常時の事業継続

今回のような感染症や災害が起きたときにも事業が継続できるよう体制を整えておく

 

 

〇人材の確保

有能・多様な人材の確保、流出防止

 

例えば、

今までは優秀な人材でも通勤距離を理由に採用を見送っていたケースでも、テレワーク導入により、場所的な制限を受けることがなくなるため、採用の幅が広がり優秀な人材の確保につながる

 

また、自宅で仕事ができることにより「育児やご家族の介護」との両立が可能となり、優秀な人材の離職を防止できる

 

 

〇地域活性化

テレワーク導入により、住む場所にとらわれることがなくなり、Uターン、Jターン、Iターン就職も可能となる。地方の活性化にもつなげることができる

 

 

〇ワークライフバランスの実現

通勤による移動時間がなくなるため、家族と過ごす時間、自己啓発にあてる時間が増える

 

 

その他

テレワークにより顧客訪問回数や接触回数が増えることによる顧客満足度の向上につながる

テレワーク導入をきっかけに業務フローの見直しを図り、業務効率化による生産性の向上につながる

 

などの効果も考えられます。

 

いずれにしても、自社でテレワークを導入する目的は、企業目線、労働者目線の両方で考えてみると良いでしょう。

 


 

テレワーク業務の洗い出し

 

<ステップ2>

業務の洗い出しをしましょう

 

目的が明確になったら、次はテレワークで「できる業務」「できない業務」を洗い出します。

 

テレワークは一般的には、事務、技術職などパソコンを使って仕事を進める職種か、営業など顧客と多くの時間を費やす職種が向いています。

 

仕事全体で見てしまうと、テレワークは難しいです。

したがって、まずは「できる業務」から外注するイメージでテレワークを始めてみると導入しやすいかと思います。

 

「できる業務」に振り分けられた仕事をまとめて、テレワーク業務一覧を作成します。

その業務を外注すると仮定して、業務の進め方やルールを決めていきます。

 

テレワークの「できる業務」「できない業務」の洗い出しをするときの注意点は、「できないという思考」よりも「どうすればできるかという思考」を持つことが大事です。

 

 

例えば書類の保管は、紙で行っているからテレワークはできないと振り分けしてしまうとそこで終了です。

紙で保管しなければならない理由があれば仕方ありませんが、

特に理由がなければ、データ化することでテレワークが可能となるかもしれません。

 

紙をデータ化することは手間も時間もかかるかもしれません。

しかし紙の保管にどれだけのコストをかけているのかという思考も必要です。

書類を探すことに時間がかかっているかもしれません、

紙を保管するスペースに意外とコストがかかっているかもしれません。

データ化することで、検索で探す時間も短縮、スペースも確保できるかもしれません。

先を考えると、業務の効率化につながる可能性は高いです。

 

このように業務の洗い出しをすると、

普段考えずに行っていた業務のムリ・ムダ・ムラを発見できることがあります。

業務の洗い出しと同時に、業務のムリ・ムダ・ムラがないか見直してみてもいいかもしれません。

 

ちなみに当事務所では、紙の保管でなく、データで保管しクラウドで共有しています。

 

データは富士ゼロックスのドキュワークス

https://www.fujixerox.co.jp/support/software/dw_world

 

クラウドはMicrosoftのOne Driveを使用しています。

https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/onedrive/online-cloud-storage

 

またテレワークを検討するときは、あまりイレギュラーなケースを考えないことです。確率的に低いケースを想定すると、「テレワークは難しい」という判断になってしまいます。

まずは標準ケースで進めてみること。そしてイレギュラーなケースが発生したときに調整していくやり方が良いと思います。

 


 

テレワークできる環境を整える

 

<ステップ3>

テレワークできる環境を整えましょう。

 

業務の洗い出しが終わったら、次にテレワークできる環境を整えていきます。

大きく分けると、

・情報通信機器やシステムの検討

・労務管理の方法

です。

 

 

・情報通信機器やシステムの検討

 

一般社団法人日本テレワークによれば、

情報通信機器やシステムの検討ポイントは下記4つのポイントを挙げています。

 

 

 

様々な方法があります。

 

ここでは詳細は割愛しますが、データ保有、費用、セキュリティ等の側面でそれぞれメリット、デメリットがありますので、自社でどの方式を採用するのかご検討ください。

 

パソコンなどの情報通信機器は、従業員本人の私物を使用するのか、会社から貸与するのかという点も決めなければなりませんね。

 

 

・テレワークでの労務管理

 

テレワークでの労務管理について確認し、ルールを決めていきましょう。

 

 

〇労働条件を確認する

テレワークになっても原則は通常の労働条件と変わらないケースが多いと思いますが、

 

例えば、

・就業場所としてテレワークを行う場所を明示していない

・テレワーク時は始業終業時刻が変更になる

・テレワーク時は短時間労働になるので、労働時間に合わせた賃金額に変更する

・通勤手当の支払方法を変更する

 

など、条件変更に対応していない労働条件通知書や就業規則であれば改めて交付または変更する必要があります。

 

 

〇テレワーク時の労働時間の管理方法を決める

テレワークであっても、その労働者の労働時間について適正に把握する義務があり、適切に労働時間管理を行わなければなりません。

 

テレワーク時の労働時間の管理方法としては以下のような方法が考えられます。

・始業終業休憩時にメール等で連絡する方法

・クラウドサービスの勤怠管理

・スケジュール共有アプリ等で時間把握

 

テレワークは労働者が働いている姿が見えません。

始業終業時刻、休憩時間が管理しやすい自社に合った方法を選択しましょう。

 

 

ちなみに当事務所ではジョブカンを利用しています。

https://jobcan.ne.jp/

 

クラウドサービスの勤怠管理も様々です。

・向いている業種

・シフトや変形労働時間制にも対応できる

・労務管理ソフトや給与計算ソフトと連携できる

・シンプルで使いやすい

など、それぞれ特徴があります。

目的に合わせて選択すると良いでしょう。

 

※SOKUDAN カオスマップ2020年版より

 

 

また通常の勤務と異なり

テレワークの場合、一定程度業務から離れる時間が生じやすいと考えられます。

例えば、育児・介護・銀行や役所の用事で出掛けるなど、いわゆる中抜け時間です。

 

この「中抜け時間」についての扱いをどのように管理するかもあらかじめ決めておく必要があります。

対応方法としては、

中抜けの開始時間と終了時間を報告させることにより、休憩時間として扱い、

始業時刻を繰り上げる、終業時刻を繰り下げる。

 

例えば、<所定労働時間8時間 始業時刻9時 終業時刻18時 休憩時間1時間>

の会社で、中抜け時間1時間必要なケース

 

このケースだと休憩時間1時間と中抜け時間1時間で合計2時間の休憩となり、労働時間が7時間となってしまいます。

所定労働時間を8時間とするために

始業時刻を8時からにするか、終業時刻を19時までにすれば、8時間労働となります。

 

中抜け時間を休憩時間とするのではなく、時間単位の年次有給休暇として取り扱う方法もあります。

 

ちなみに始業や終業の時刻の変更が行われることがある場合には、その旨を就業規則に記載しておかなければなりません。

また、時間単位の年次有給休暇を与える場合には、労使協定の締結が必要となります。

 

 

●労働時間制度の導入も検討

 

労働時間を労働者の都合に合わせて柔軟に対応したいということであれば、

フレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制を採用する方法もあります。

 

 

フレックスタイム制であれば、労働者の都合に合わせて、始業や終業の時刻を調整すること可能です。

出社するときは、労働時間を長くし、テレワークの日は労働時間を短くして、中抜け時間を多く取ることも可能となります。

 

なお、フレックスタイム制を導入する場合は、就業規則に始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねる旨定めることや

労使協定において、対象労働者の範囲、清算期間、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間等を定めることが必要です。

 

 

事業場外みなし労働時間制は、会社が労働者の労働時間の算定が難しいときは、「1日〇時間働いたものとみなす」とすることができる労働時間制度です。

 

ただし運用には注意が必要です。

①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

=情報通信機器を通じた使用者の指示に即応する義務がない状態を指す

②随時会社からの「具体的な指示」に基づいて業務を行っていないこと

 

例えば、

・労働者が自由に情報通信機器から離れることや通信可能な状態を切断することが認められている場合

・会社支給の携帯電話等を所持していても、労働者の即応の義務が課されていないことが明らかである場合

などが該当します。

 

また「具体的な指示」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これら基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれません。

 

逆に2つの要件を満たさなければ、

テレワークにおいて、

「使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難」

とは判断されませんので、ご注意ください。

 

 

〇コミュニケーション

通常の勤務と異なり、「挨拶」「報告連絡」「相談」「雑談」が少なくなります。

 

上司や同僚とのコミュニケーション不足をカバーできるような仕組みも必要です。

 

例えば

・定期的なWEBミーティングの実施

・WEB朝礼、夕礼の実施

・チャットツールを使ったコミュニケーション

などが考えられます。

 

 


 

 

テレワーク規程を作成

 

<ステップ5>

ルールを決めたらテレワーク規程を作成しましょう。

 

このように労働時間の管理方法や社内連絡方法など通常の勤務とは異なる点が多いので、テレワーク用のルールを定めることをおススメします。

 

テレワーク規程は下記の内容を参考に作成してみると良いでしょう。

 

〇テレワークの目的

ステップ1で決めたテレワークの目的を記載します。

企業目線だけでなく、労働者目線の目的を入れると良いでしょう。

 

 

〇テレワークで行う業務の範囲

ステップ2で決めたテレワークで行う業務の範囲を記載します。

 

 

〇テレワークの種類

自社で認めるテレワークの種類を記載します。

テレワークは在宅勤務以外に、移動中にパソコンを使って仕事をするモバイルワークや勤務先以外のオフィススペースでパソコンを使って仕事をするサテライトオフィス勤務などもあります。

 

 

〇テレワークの対象者と手続き方法

テレワークの対象者を決めましょう。

テレワークは管理者の見えないところで働くスタイルです。

例えば「勤続3年以上の者」など限定することも可能です。いずれにしても、誰でもOKとするのではなく、会社が認めた者など許可制とするほうが良いでしょう。

そのために、テレワーク希望者の申請方法から許可までの手続きの流れも決めておきましょう。

 

 

〇テレワーク時の服務規律

就業規則の服務規律の内容をベースに特に情報の取扱いについて細かく規定しましょう

 

 

〇労働時間の管理方法、始業終業時刻、休憩時間

ステップ3で決定した労働時間の管理方法(メール、クラウド、アプリ)や、

中抜け時間のルール、労働時間制度を採用する場合はその旨を記載しましょう。

 

 

〇残業のルール

テレワークの残業については、許可制とすることをおススメします。

テレワークの場合、仕事の時間とプライベートの時間が混在し、結果ダラダラと仕事を続けてしまうケースも少なくありません。

 

原則残業禁止として、

メール送付を抑制したり、システムへのアクセスを制限したりするなどの方法も考えられるでしょう。

 

 

〇業務報告

業務の報告方法についても取り決めておきましょう。

報告の頻度:毎日報告とするか、週、月にまとめて報告とするか

報告書の提出方法:メール、コミュニケーションアプリ、ツールなど

そのほかにWEBシステムを使用した朝礼、夕礼にての報告などが考えられます。

 

ちなみに当事務所では、報告書作成に時間を取られないよう、あらかじめテレワーク業務一覧をベースとしたひな形の報告書を作成し、それにチェックしてもらう方法をとっています。

 

 

〇給与

テレワークでも給与額は通原則変更することはないと思います。

ただし通勤がなくなる又は少なくなるのでの、通勤手当の扱いをどうするのか?

また出社することを条件に支払っていた諸手当などの扱いをどうするかも検討する必要があります。

 

支給のルールが明確でないものの見直しも含め、通常とは異なる支給条件となるのであれば、就業規則の変更が必要です。

 

例えば、

「通勤手当…1ヶ月定期相当額を支給する。」としていた場合で

テレワーク時は実費支給としたい場合には、

通勤手当…1ヶ月定期額相当額を支給する。テレワーク勤務者や出勤日数が少ない場合は実費支給とすることがある。

というように変更が必要です。

 

 

〇費用負担

通信費、通信機器等の費用、電話代、コピー用紙、トナー代などテレワークを行うことによって発生する費用については、

会社と労働者のどちらが負担するか十分に話し合い、テレワーク規程に定めておきましょう。

規程内容は、

・労使どちらの負担とするか

・限度額

・労働者が費用請求する場合の請求方法

などを記載しておくと良いでしょう。

 

最低でもこれらの内容についてはルール化しておくことをオススメします。

 


 

 

最後にテレワーク時の災害補償について触れておきます。

 

テレワーク業務中に起きた災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となります。

ただし業務以外が原因であるものについては、対象外です。

 

例えば

自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した事案は労災保険の対象となります。

 

一方、テレワーク中に中抜けし、私的な用事で役所に出掛けた際に転倒した事案は、業務上の災害とはならないので、労災保険の対象外となります。

 


 

いかがでしたでしょうか?

今回はテレワークを検討する企業向けに

「導入ステップ」をまとめてみました。