【新型コロナ関連】当事務所に寄せられた休業手当に関するQ&A

2020/09/18 ブログ

新型コロナウイルス感染症に関連した「休業手当支払いの有無」について

判断に迷われるケースが少なくありません。

 

今回ははケース別に休業手当支払いの有無について確認していきましょう。

 

 

労基法第26条において、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定められております。

 

 

つまり会社側に責任があるような理由で休業させるのであれば、平均賃金の60%以上の支払いが必要ということです。

平均賃金の60%以上というのは労働基準法の最低基準です。したがって就業規則で休業手当の割合を決めていればその割合に従って支給する必要があります。

 

また民法536条の2項の帰責事由に該当する場合は、100%支給が必要です。

新型コロナウイルスに関連した休業について、民法536条の2項の帰責事由に該当するか否かは議論のあるとことですが、

ここでは、労基法第26条により定められた休業手当の支払の有無について解説しております。

 

 


 

 

Q、新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などで従業員を休業させた場合は休業手当の支払は必要でしょうか?

 

A、会社が休業を命じる場合は、休業手当の支払いが必要です。

 

 

なお、新型インフルエンザ等対策特別措置法による対応が取られる中で、協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、労働者を休業させる場合においても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではないとのことです。

 

不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありませんが、不可抗力による休業と言えるためには、

 

①その原因が事業の外部より発生した事故であること

 

②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること

 

という要素をいずれも満たす必要があります。

 

①に該当するものとしては、例えば、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で、営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられます。  

 

②に該当するには、使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしていると言える必要があります。

 

具体的な努力を尽くしたと言えるか否かは、

例えば、

 

・自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分に検討しているか

・労働者に他に就かせることができる業務があるにもかかわらず休業させていないか

といった事情から判断されます。

 

逆にこれらに該当しなければ、休業手当の支払いが義務付けられます。

対応としては、雇用調整助成金を利用しながら休業手当を支払う方法がよろしいかと思います。

 


 

 

Q、感染した方を休業させる場合でも休業手当の支払は必要でしょうか?

 

A、原則として休業手当の支払は不要です。

 

新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

 

なお、社会保険に加入されている方で要件を満たせば、傷病手当金が支給されます。

具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

 


 

Q、感染が疑われる方を休業させる場合は休業手当の支払は必要でしょうか?

 

A、ケースによっては休業手当に支払が必要です。

 

「帰国者・接触者相談センター」での相談結果を踏まえても、職務の継続が可能である方について、会社の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

 

一方、PCR検査を実施し検査結果がまだ出ていないが、すでに味覚障害など典型的な新型コロナウイルスの症状が出ている従業員を休ませる場合は判断に迷われるところかと思います。

 

罹患の可能性が非常に高い従業員を、

「他の従業員へ感染させる可能性が高い」ことを理由に出勤させないことが

「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に該当するのか?という考えもあるでしょう。

 

専門家によっても意見の割れるところです。

 

このような判断に迷われるケースの場合、在宅勤務が可能であれば在宅勤務とし、

在宅勤務が難しいようであれば、検査結果で陽性と判明するまでは、休業手当を支給しておくほうがベターかと思います。

 


 

 

Q、発熱などがある方が自主的にお休みする場合でも休業手当の支払は必要でしょうか?

 

A、原則休業手当の支払は不要です。

 

自主休業ということであれば、「風邪をひいたので休みます。」と同じ扱い、つまり

通常の病欠と同じ扱いです。ノーワークノーペイの原則により無給で構いません。

 

一方、例えば発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでもらう措置をとるということであれば、これは会社の自主的な判断で休業させることになるので、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

 


 

 

Q、「新型コロナウイルス感染に不安」という理由で従業員が出社しない場合でも休業手当の支払は必要でしょうか?

 

A、休業手当の支払は不要です。

 

自主休業と同じ扱いになります。

ただし、会社が新型コロナウイルス対策を十分に実施していないなか、出社を命じ、

新型コロナウイルスに感染させてしまった場合には、会社の安全配慮義務を問われる可能性があります。

 

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

 

 

 


 

 

Q、新型コロナウイルス感染の疑いがある従業員に休業手当を支払わず、年次有給休暇を取得してもらうことはできますか?

 

A、「Q、感染の疑いある方を休業させる場合」でも述べたとおり、休業手当の支払いが必要です。

 

年次有給休暇は、原則として従業員が請求する時季に与えるものであり、会社が一方的に取得させることはできません。したがって、年次有給休暇を取得させるのではなく、休業手当を支払うことになります。

 

一方、自主休業する従業員が、本人の申し出により年次有給休暇を取得することが問題ありません。

 


 

いかがでしたでしょうか?

今回はご質問の多かった「休業手当の支払の有無」について触れてみました。

判断に迷われたときには、QAに近い内容を参考にしてみてください。