【法改正】子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得

2020/11/20 コラム

育児・介護休業法施行規則の改正により、

2021年1月から、子の看護休暇および介護休暇が時間単位で取得できるようになります。

 

 

改正前は、

・半日単位での取得が可能。

・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない。

 

改正後は、

・時間単位での取得が可能。

・すべての労働者が取得できる。

 

細かい内容について確認していきたいと思います。

 


 

 

この記事でお伝えすること

 

・子の看護休暇・介護休暇とは

・時間単位取得の内容

・こんなケースは?

・就業規則や育児介護休業規程の変更が必要

(規定例)

 

 


 

子の看護休暇・介護休暇とは

 

改正内容の前に、

子の看護休暇と介護休暇の基本的な内容を確認しておきましょう。

 

<休暇>

 

小学校に入学する前までのお子さんがケガや病気して看護しなければならないときや

予防接種や健康診断を受けさせるために、1年に5日まで(対象のお子さんが2名以上のいる場合は10日まで)休暇を取ることが認められています。

これが子の看護休暇です。

 

 

要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うために、1年に5日まで(対象者が2人以上であれば年に10日まで)休暇を取ることが認められています。

これが介護休暇です。

 

 

<休暇取得時の賃金>

 

法令上特に定められておりませんので無給でも構いません。

就業規則や育児介護休業規程で「有給」であるか「無給」であるかは明確にしておきましょう。

 

 

<対象者>

 

すべての労働者が取得できるとされていますが、

労使協定を締結することで、一部の者を適用除外とすることが可能です。

・入社6か月未満の者

・1週間の所定労働日数が2日以下の者

 

以上が子の看護休暇、介護休暇の基本的な内容です。

 


 

時間単位取得の内容

 

今までの子の看護休暇、介護休暇は、1日単位または半日単位での取得となっておりましたが、2021年1月から、子の看護休暇および介護休暇が時間単位で取得できるようになります。

 

内容は下記のとおりとなります。

 

・子の看護休暇および介護休暇の取得単位は1時間とします。

なお、その取得は、始業の時刻から連続し、または終業の時刻まで連続するものとします。

 

・取得する子の看護休暇および介護休暇の1日の時間数は、1日の所定労働時間数とします。

 

・日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数とし、その時間に1時間に満たない端数がある場合は、1時間に切り上げるものとします。

 

 

子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが難しい業務がある場合は、労使協定を締結することで、時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。

 

 

<時間単位取得が難しい業務とは>

 

例えば

・航空機の国際路線の客室乗務員の業務等

 

・長時間の移動を要する遠隔地で行う業務等

 

・流れ作業方式や交替制勤務による業務等

 

などが考えられます。

 

 

また法改正後も引き続き、

・入社6か月未満の者

・1週間の所定労働日数が2日以下の者

については、労使協定を締結することで適用除外とすることができます。

 

 


 

 

こんなケースは?

 

時間単位取得の内容は上記のとおりですが、

労働時間が契約により異なるなど、判断に迷うケースがあるかと思います。

いくつかQA方式で確認していきましょう。

 

 

Q、時間単位取得ということだが、2時間単位で取得してもらうようルール化することはできるか?

 

A できない。

1時間単位で労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。

 

 

 

Q、1日の所定労働時間が7時間30分の場合、何時間分の休暇で1日分となりますか?

 

A、8時間分です。

時間単位で取得する場合は、1日の所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合は、端数を時間単位に引き上げます。

 

つまり、対象となる子が1人で年間5日間とした場合、

所定労働時間が7時間30分や7時間15分の会社は、40時間分の休暇を取得することができます。

※8時間×5日=40時間

 

 

 

 

Q、パートさんなど日によって所定労働時間が異なる従業員の1日の所定労働時間は何時間とすればよいか?

 

A、「1日の所定労働時間数」は、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数となります。

例えば、年間労働時間が1,200時間 年間労働日数が200日の場合は

1,200÷200=6時間

1日平均所定労働時間は6時間となり、

休暇5日の場合は、30時間分の休暇が取得可能となります。

 

 

Q、勤務時間は8:30~17:00(休憩12:00~13:00)。子の看護休暇を始業時刻から4時間取得した場合、12:30までとなり休憩時間に差し掛かってしまうが、どのように取り扱えば良いか?

 

A、休暇は労務提供義務のある労働時間に取得できます。休憩時間は労働時間ではないため、看護・介護休暇を請求する余地はありません。

したがって休憩時間を除く、実際に労働に従事することとなる時間帯でみて、始業時刻から連続し、又は終業時刻まで連続する時間単位で看護・介護休暇を取得できることとなります。

このため、上記の企業において、始業時刻から連続した4時間の看護・介護休暇を取得する場合には、8:30~12:00及び13:00~13:30を合計した4時間となります。

 

 

 

 

Q、勤務時間の途中(いわゆる中抜け)に子の看護休暇、介護休暇の時間単位取得は認められますか?

例えば勤務時間は8:00~17:00(休憩12:00~13:00)

8時から12時までは勤務。13時から15時の2時間の休暇取得。15時から17時まで勤務。

 

A、法令で求められているのは、いわゆる「中抜け」なしの時間単位休暇です。

「1日未満の単位は、時間であって、始業の時刻から連続し、又は終業の時刻まで連続するもの」と決められています。

したがって、就業時間の途中に抜けて再び戻ってくるような休暇の取得を認めることまでは求めてはいません。

もちろん法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認める分には構いません。

 

 


 

 

就業規則や育児介護休業規程の変更が必要

 

法改正により就業規則や育児介護休業規程の変更が必要となります。

規定例を載せておきますので、参考にしてみてください。

 

(規定例)

 

(子の看護休暇)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10 日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。

この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31 日までの期間とする。

 

2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。

 

3 取得しようとする者は、原則として、子の看護休暇申出書を事前に人事部労務課に申し出るものとする。

 

4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。

 

(介護休暇)

1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10 日を限度として、介護休暇を取得することができる。

この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31 日までの期間とする。

 

2 介護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。

 

3 取得しようとする者は、原則として、介護休暇申出書を事前に人事部労務課に申し出るものとする。

 

4 本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した額を支給する。

 

 

従業員が10名以上の企業は労働基準監督署への届出も忘れずに行いましょう。

 

 


 

2021年1月より改正となります。

少なくとも、12月中には就業規則の変更を進めておきたいものです。

また時間単位取得に対応した管理簿の作成も必要です。

 

ご不明な点等があれば、お気軽にお問合せください。