【新型コロナ感染症関連】1年単位の変形労働時間制の変更・解約

2020/12/15 ブログ

1年単位の変形労働時間制は、業務に繁閑があるような事業所において、繁忙期には長い労働時間を設定し、閑散期には短い労働時間を設定することで、効率的に労働時間を配分して年間の総労働時間を短縮させることができる労働時間制度です。

 

 

制度を利用するためには、あらかじめ業務の繁閑に合わせた年間の計画(労働日や労働時間)を立て、労使協定を締結し労働基準監督署に提出します。

そのため、一度協定を締結した場合は、労使の合意があっても対象期間の途中であらかじめ定められた労働日や労働時間を変更したり、労使協定を解約することはできません。

 

 

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の計画どおり変形労働時間制を実施することが難しくなるケースも出てくるでしょう。

 

そのため、そのような場合に限り、特例的に変形労働時間制の途中での労働日や労働時間の変更、労使協定の解約も可能となりました。

 


 

労使協定の変更とは

 

現在、締結されている労使協定で定められている将来の労働日や労働日ごとの労働時間などを変更することです。

変更前の期間を含めて対象期間全体で所定労働時間を1週間当たり40時間以下にする必要があります。

 

 

労使協定の解約とは

 

現在、締結されている労使協定を解約し、将来に向かってその効力を失わせることです。

解約までの期間に1週間当たり40時間を超えて労働させていた場合には、就業規則等を変更し、その超えて働かせていた時間に対しては割増賃金を支払うなど労使協定の解約が労働者の不利になることのないよう留意が必要です。

 

 

労使協定の変更や解約が可能なケース

 

労使協定の変更や解約が可能なケースは、

新型コロナウイルス感染症対策に伴い当初の計画どおり変形労働時間制を実施することが難しくなったことに限られます。

 

具体的には、次のようなケースに該当した場合に「変更・解約」の特例が認められます。

 

・新型コロナウイルス感染症の対策を行う期間における労働日数や労働時間数を変えることなく、労働日や労働時間の配分を当初の計画から変更すること

例えば、

当初の計画では土日を休日としていたが、平日を休日に変更するなど。

 

・ 新型コロナウイルス感染症の対策を行う期間における労働日数や総労働時間を当初の計画から減少させること

例えば

3月の事業活動を減少させ、減少した労働分を夏以降に振り替えるなど

 

・発熱等が見られる従業員の休暇取得やイベント等の中止、延期等の対応を補うため、労働日数や総労働時間を当初の計画から増加させること

例えば

新型コロナウイルス感染症対策での事業活動の減少を補うため、夏以降に予定していた労働分を3月に振り替えるなど

 

・上記以外の場合であって、新型コロナウイルス感染症対策の実施の影響により、新型コロナウイルス感染症の対策を行う期間以外の期間における労働日数や総労働時間等を当初の計画から変更すること

例えば

新型コロナウイルス感染症による事業活動の縮小の影響が6月以降に出るため、3月頃の労働時間等は変更せず、8月以降の労働時間等を変更するなど

 


 

手続

 

<労使協定の変更の場合の手続き>

 

労使協定の変更について書面による協定を締結します。

変更後の労使協定を、所定の様式により労働基準監督署に届出ます。

所定の様式には、

・労使協定の変更前に既に労働が行われた期間(変更前の協定の既済期間)

・変更前の協定の成立年月日

・変更前の協定届の届出年月日

を余白に追記します。

 

変更時点で賃金の清算を行います。

 

 

<労使協定の解約の場合の手続き>

 

解約までの期間を平均して、1週間当たり40時間を超えて労働させた場合には、就業規則等を変更し、その超えた時間について割増賃金を支払います。

 

労使協定を解約し、新たに労使協定を締結する場合は、労使協定に、再度、新型コロナウイルス感染症対策のために協定を解約する際の清算に関する規定を盛り込むとともに、就業規則等を変更します。

 

協定の条文例

(解約の場合の清算)

第○条 対象期間中に、新型コロナウイルス感染症対策のため、計画どおりに変形労働時間制を実施することが困難となった場合は、過半数労働組合等との合意により本協定を解約することができる。この場合には、使用者は、労使協定の解約までの期間を平均し、1週当たり40時間を超えて労働させた場合の当該超えた時間(労働基準法第33条又は第36条第1項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)について、労働者に対し、通常の賃金の計算額の2割5分の率で計算した割増賃金を支払うものとする。

 

 

解約後、新たに労使協定を締結した場合には、所定の様式により労働基準監督署に届出ます。

所定の様式には、

・解約までに既に労働が行われた期間(解約前の協定の既済期間)

・解約までの期間における1週間の平均所定労働時間数(解約前協定の既済期間

中の1週間の平均所定労働時間数)

・解約時の賃金清算の有無

・清算を行った日又は清算予定日

・中途解約の場合の清算に関する規定の有無

・解約前の協定の成立年月日

・解約前の協定届の届出年月日

を余白に追記します。

 

また変更・解約手続きには別紙「労働基準法第 32 条の4の変形労働時間制の新型コロナウイルス感染症対策のための特例の対象となる事業場であることの確認書」を添付して届出ます。

 

 

 

すでに1年単位の変形労働時間制の届出をしている企業で、コロナ関連で変更がある場合は、上記の手続きが必要になります。

 

変更手続きに漏れのないようご注意ください。