同一労働同一賃金の概要を解説します

2020/12/30 ブログ

2020年4月1日より大企業と派遣事業でスタートした同一労働同一賃金ですが、

いよいよ中小企業でも2021年4月1日よりスタートします。

 

「正社員と同じ賃金を支払わなければならないの?」

「最近裁判例も多く出ているようだけど・・・」

 

といった経営者の不安な声や

具体的に何を進めればよいのか?というご相談も増えております。

 

具体的にやるべきことは多くありますが、まずは同一労働同一賃金とはどのようなものなのか制度を正しく知ることから始まります。

そこで今回は、

同一労働同一賃金の概要について解説したいと思います。

 


 

この記事でお伝えすること

 

・同一労働同一賃金とは?

・同一労働同一賃金の基本的な考え方

・職務の内容とは?

・職務内容、配置の変更の範囲とは?

・その他の事情とは?

 



同一労働同一賃金とは?

 

非正規労働者は正社員ではない契約社員やパートタイマー、アルバイトなどのことを指します。

 

非正規労働者は、一般的には正社員に比べて賃金が低かったり、待遇が良くないケースが多いですよね。

しかし非正規労働者でも正社員と同じように働いている人もいます。

 

そこで、そのような非正規労働者と正社員との間で「不合理な待遇差をなくそう」と導入されたのが、「同一労働同一賃金」となります。

 

今までは、労働契約法20条で「正社員と有期雇用労働者との間の待遇に関する規定」が定められていたのですが、その内容がパートタイム労働法に統合されて、新たにパートタイム・有期雇用労働法で定められるようになりました。

パートタイム・有期雇用労働法の施行日は大企業は2020年4月1日から

中小企業は2021年4月1日からとなります。

 

 

パートタイム・有期雇用労働法のポイントは大きくわけて3つあります。

 

1.不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

2.待遇に関する説明が義務化されます。

3.労働局で無料の紛争解決手続きが行われるように整備されます。

 

このように法律で「不合理な待遇差を設けることが禁止」されました。

これがいわゆる「同一労働同一賃金」と言われています。

 

では、この同一労働同一賃金の基本的な考え方について確認していきましょう。

 


 

同一労働同一賃金の基本的な考え方

 

同一労働同一賃金の基本的な考え方は、パートタイム・有期雇用労働法の第8条(均衡待遇)と第9条(均等待遇)で示されています。

 

法律では不合理な待遇差を設けてはダメだと定められましたが、

待遇差については、均衡待遇と均等待遇の2つのルールがあります。

 

「均衡待遇」と「均等待遇」

文字で見てもそっくりですが、似て非なるものです。

これが同一労働同一賃金をわかりにくくしている原因のひとつではないかと思っています。

 

ここでは、待遇差のルールとして「均衡待遇」「均等待遇」の2通りあることを覚えてください。

 

 

●均衡待遇

非正規労働者と正社員の間で

①職務の内容

②職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組み)

③その他の事情

を考慮して、(違いがあっても)不合理な待遇差を設けてはNG

 

●均等待遇

非正規労働者と正社員の間で、

①職務の内容

②職務の内容・配置の変更の範囲(人事異動や転勤の有無、範囲)

が同じ場合は、差別的取扱いをしてはNG

 

つまり、

均衡待遇とは、職務の内容等に違いがあれば、差は付けてもいいけど、その違いに応じて待遇を決めなければならない。不合理に差を付けすぎてはならないということですね。

 

均等待遇とは、職務の内容等が同じであれば、待遇に差をつけず全く同じ扱いにするということです。

 

ざっくりと言えば

均等待遇は、待遇をイコールにする

均衡待遇は、待遇をバランスのとれたものにする

というところでしょうか。

 

まとめると、待遇差は条件により2通り

・不合理な待遇差は付けないこと

・待遇に差を設けず同じ扱いにすること

 


 

 

「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」「その他の事情」とは?

 

同一労働同一賃金では、

「職務の内容」「職務の内容・配置の変更の範囲」「その他の事情」に違いがあるのか、同等なのかを判断する必要があります。これもまたわかりにくいですね。

 

しかし正しい判断をするには、ここをきちんと理解しておく必要があります。

ひとつずつ確認していきましょう。

 


 

「職務の内容」とは?

 

職務の内容とは「業務内容」「責任の程度」となります。

 

業務内容とは仕事の内容で、主な業務を比較して実質的に同じと言えるのかを判断します。

 

 

責任の程度とは、主に次のような内容が挙げられます。

 

・与えられている権限の範囲

例えば

正社員は単独で契約締結可能な金額の範囲が大きいが、非正規労働者は小さい

管理する部下の数が多い

正社員は決裁権限があるが、非正規労働者には権限が与えられていない

 

・業務の成果について求められる役割

・ノルマ等の成果への期待の程度

例えば正社員はノルマが課せられており、その達成度合いに応じて賃金に反映されるが、

非正規労働者はノルマがない。またはノルマが未達成であっても、賃金には反映されない。

 

 

・トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応の程度

例えばクレームは正社員が対応するなど

 

・残業の有無、頻度等

例えば繁忙時は正社員が優先的に残業を命じられるなど

 

いかがでしょう。

職務内容といっても仕事の内容だけでなく責任の程度も含まれます。

一見すると仕事の内容は同じに見えても、責任の程度まで見ると、同等とは言えないケースもあるでしょう。

 

その場合は、職務の内容は「異なる」と判断でき、職務の内容の違いに応じた待遇差であれば問題ありません。

 


 

職務の内容・配置の変更の範囲(人材活用の仕組み)とは?

 

日本の雇用システムは、長期的な人材育成を前提として待遇に関する制度を作っている企業が多いです。

このような人材活用の仕組みに応じて待遇に違いが生じることもあるでしょう。

例えば、人事異動や転勤の有無、範囲などの違いです。

 

ここでいう「職務の内容・配置の変更の範囲」とは

 

・転勤の有無

・転勤の見込

・転勤の範囲

・人事異動による配置転換

・昇進等の有無

 

がどのように異なるのかが問われます。

 

例えば、正社員は転勤の範囲が全国であるのに対し、非正規労働者はエリアが限定されているということであれば、「異なる」と判断でき、違いに応じた待遇差であれば問題ありません。

 


 

その他の事情とは?

 

「その他の事情」というのがあまりにも曖昧でわかりにくいですね。

 

例えば、「職務の内容」、「人材活用の仕組み」だけで待遇差を判断するのではなく、「その他の事情」も考慮して待遇差が不合理ではないか判断します。

 

例えば

・ある待遇差が不合理でも、それを補填するその他の待遇がある場合

・労使で真摯に話し合って決まっていることかどうか

・定年後の再雇用や正社員登用の有無

・合理的なその企業の慣行

・採用の目的

・フルタイム、短時間など所定労働時間の違い

など

このような要素も考慮した上で、不合理な待遇差はないか判断していきます。

 


 

以上が同一労働同一賃金の概要となります。

まずは制度の内容について正しく理解しましょう。

 

法令では、これまで説明した不合理な待遇差の禁止のほか、

非正規労働者の雇い入れ時とその労働者から求めがあったとき、事業主は正社員との間の待遇差の内容、理由について説明することが義務となります。

 

次回は「具体的に何をすれば良いのか」について確認してみたいと思います。

 


同一労働同一賃金について

 

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