【就業規則に必ず記載する内容】労働時間・休憩・休日・休暇について
以前「なぜ就業規則を作成するのか」という記事を書きました。
まだお読みでない方はこちらからご確認ください。
就業規則を作成しなければならないことはわかった。
では、就業規則を作成するにあたり、どのような内容を書けば良いのでしょうか?
今回より何回かにわけて、就業規則に必ず記載しなければならない内容について確認したいと思います。
この記事でお伝えすること
・就業規則で記載しなければならない内容
・絶対的必要記載事項
・絶対的必要記載事項を記載するために必要な基礎知識
労働時間、休憩、休日、休暇
就業規則で記載しなければならない内容
就業規則を作成するにあたり、どのような内容を書けば良いのでしょうか?
単に会社で決めたルールを記載すれば良いのでしょうか?
ルールブックであればそれで問題ありませんが、労働基準法で定められた「就業規則」は記載する内容も定められています。
労働基準法第89条において
就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)とその会社で定めをした場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。
つまり絶対的必要記載事項は、必ず記載しなければならない項目なので、その項目のルールは必ず決める必要があります。
相対的必要記載事項は、必ず記載しなければならないものではありません。
したがってルールとして定めなくても良いです。しかしルールとして定めたのであれば、記載しなければならない項目となります。
絶対的必要記載事項
必ず記載しなければならない内容は次の①から③です。
① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
したがって、就業規則を作成するにあたり
最初に決める内容は
・基本的な労働時間 何時から始まり何時に終わるのか?
・その間の休憩時間はどうするのか?
・会社の休みはいつにするか?
・休暇を設けるのか?
・賃金はいくら払うのか?
・計算方法は?
・退職のルールは?
など
これらを最低限決めなければなりません。
しかし自由に決めて良いというわけではなく、
法律を守ったうえで、ルールを決める必要があります。
したがって、まずは労働時間、休日、休憩、休暇、賃金、退職に関する労働基準法で定められている内容を把握する必要があります。
就業規則の「絶対的必要記載事項」を記載するために必要な労働法の基礎知識
〇労働時間のルール
労働基準法では、労働時間は1日8時間、1週で40時間までとされています。これを法定労働時間といいます。
したがって、就業規則で労働時間を決めるには、原則としてこの時間内で決める必要があります。
例外的に1日8時間、1週40時間を超えて働くことも可能です。
〇休憩時間のルール
休憩時間もルールがあります。
実労働時間が6時間を超える場合は45分
実労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩が必要です。
〇休日のルール
休日は
週に1日以上
または
4週に4日以上必要です。
このように、
会社の労働時間や始業終業時刻を決定する際は、法定労働時間だけでなく、
休憩時間、休日のルールも考慮して決める必要があります。
例えば、
始業終業時刻を9時から18時にしたい場合
実労働時間を8時間とするためには、休憩時間を60分とする必要があります。
さらに1週40時間とするためには、休日は週に2日必要となります。
<よくある勘違い>
労働基準法では「休日は週に1日」と定められているので、週に1日の休日を確保すればよいと思われがちです。
しかし1日の労働時間を8時間とした場合、週休1日だと週の労働時間が48時間となり、法定労働時間を超えてしまいます。
したがって労働時間と休日の両方のルールを満たすためには、週休2日にしなければなりません。
どうしても、週休1日としたい場合は、1日の労働時間を短くすれば良いのです。
(例:1日6.5時間×6日=39時間)
〇休暇のルール
休暇は休日と異なり、労働日だけど労働が免除される日です。
夏季休暇や年末年始休暇などを設ける場合や
例えば結婚や出産、親族の死亡等により特別休暇を設ける場合には就業規則に記載する必要があります。
また労働基準法で定められている休暇があるので、これらの休暇も就業規則に記載する必要があります。
法律で決められている休暇も確認しておきましょう。
◆年次有給休暇
年次有給休暇は、休日のほかに毎年一定の日数の休暇を与えて、従業員の心身の疲労を回復してもらい、仕事に専念してもらうことを目的としています。
年次有給休暇の発生条件は
・入社日から6か月間継続して勤務していること
・上記6か月間の全労働日の8割以上出勤していること
条件を満たした場合には、最低10日の有給休暇が付与されます。
さらに1年経過ごとに下記日数が付与されます。
正社員だけでなく、パートタイマー・アルバイト等にも年次有給休暇は付与されます。
ただし正社員と異なり、週の労働日数により付与される日数は異なります。
※ちなみに年次有給休暇が10日以上付与される従業員は、年に5日、年次有給休暇を取ることが義務付けられております。
◆裁判員休暇
裁判員又は補充裁判員として裁判に参加する場合や裁判員候補者として裁判所に出頭する場合は休暇を取得することが認められています。
◆産前産後休暇
女性従業員が妊娠出産にあたり、産前6週間・産後8週間の期間について休暇取得が認められています。
◆母性健康管理のための休暇
妊娠中又は産後1年を経過しない女性従業員が、所定労働時間内に、母子保健法に基づく保健指導又は健康診査を受けるために、通院休暇を取得することが認められています。
◆生理日の休暇
生理日の就業が著しく困難な女性従業員にその日の休暇を取得することが認められています。
◆育児時間
生後1年未満の子を育てる女性従業員が、休憩時間のほかに1日2回、各々30分の育児時間を取得することが認められています。
◆育児休業
1歳(特別の事情がある場合には、1歳6か月又は2歳。)に満たない子を養育する従業員が育児のために休暇を取得することが認められています。
◆介護休業
介護が必要な状態にあるご家族を介護する従業員が一定期間、休暇を取得することが認められています。
◆子の看護休暇、介護休暇
子どもが病気などで看護が必要な場合やご家族の介護のために、一定の日数休暇を取得することが認められています。
以上法律で定められている多くの休暇があります。
実は、年次有給休暇以外の休暇は有給・無給は問われていません。
したがって、このあたりをはっきりしておかないと、「会社側は無給扱いという認識であっても、従業員は有給だと思っていた」ということで、トラブルになるケースがあります。
このようなことが起こらないよう、あらかじめ就業規則で有給なのか無給なのかを明確にしておきましょう。
いかがでしたでしょうか?
労働時間、休憩、休日、休暇の内容を決めるだけでも、これらの基本的な内容は抑えておかなければなりません。
次回は、賃金のルール、退職のルールについて確認したいと思います。