2022年の改正育児介護休業法とは
育児介護休業法が改正されます。2022年4月1日以降、段階的に施行されます。
2021年1月に子の看護休暇、介護休暇の時間単位付与の改正があったばかりですが、
今回の改正内容も大きく変わる予定です。
育児介護休業規程の変更も伴う内容になりますので、あらかじめ内容について確認しておきましょう。
今回の改正内容は大きく分けて5つあります。
①子の出生直後の時期に柔軟に育児休業を取得できるような新制度を作る。
②育児休業を取得しやすくなるよう雇用環境の整備。妊娠・出産の申出をした労働者に対して個別の周知・意向確認の措置を義務付ける。
③育児休業を分割取得できるようにする。
④有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件を緩和する。
⑤育児休業取得状況の公表を義務付ける。
ひとつずつその内容について確認してみましょう。
①子の出生直後の時期に柔軟に育児休業を取得できるような新制度を作る。
子の出生後8週間以内に4週間まで育児休業を取得することが可能となります。
男性が女性の産後休暇にあたる期間に育児休業を取ることができる制度で
これまでもパパ休暇として産後8週間については育児休業を取ることができました。
改正後は、現状のパパ休暇の規定は削除され、
子の出生後8週間以内に4週間まで取得できる育児休業となります。
さらに下記のとおり柔軟に取得できるように変更されます。
<休業の申出>
休業を申し出る期限は、原則休業の2週間前までに変更。
通常の育児休業の申出期限は1ヶ月前となっていますが、出生後8週間以内の育児休業については、2週間前までの申出でOKとなります。
<分割取得>
分割して2回取得できるようになります。
パパ休暇を取得後、通常の育児休業を取得するようなケース以外、2回育児休業を
取得することはできませんでしたが、
改正後は、出生後8週間以内の育児休業についても2回に分割して取得することができます。
したがって、4週間取得後さらに4週間取得することも可能となり
結果的に、これまでのパパ休暇と同じ期間の育児休業を取得することも可能です。
<休業中の就業>
労使協定を締結することにより、労働者が合意した範囲で働くことも可能となります。
就業可能日等の上限(休業期間中の労働日・所定労働時間の半分)を厚生労働省令で定
める予定です。
なお、この期間についても育児休業給付金の対象となるようです。
②育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
育児休業を取得しやすくするよう雇用環境整備や個別の周知が義務付けられます。
具体的には、
雇用環境整備であれば、
研修や相談窓口設置など複数の選択肢からいずれかを選択していただくことになります。
また個別周知の方法であれば、
面談での制度説明、書面による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択していただくことになります。
マタニティハラスメントの問題も年々増加しておりますし、育児休業制度も複雑でわかりにくいです。
不安を抱えながら出産、育児に入ることを少しでも軽減するために、
いつでも相談できる体制づくりや情報提供は必要です。
当事務所でも、顧問先の妊娠をされた従業員の方向けに
出産関連の制度説明を行うサービスを提供しております。
このような情報提供は非常に大事だと思っております。
これらが義務付けられることは、妊娠出産される従業員にとって非常に良い
改正内容だと個人的には思っております。
③育児休業の分割取得
通常の育児休業についても分割して2回までの取得が可能となります。
通常の育児休業(1歳までの育児休業)の取得は原則分割することはできません。
つまり一度育児休業を取得して復帰した場合は、その後同じお子さんについては育児休業を取得することができませんでした。(パパ休暇、育休延長を除く。)
改正後は
通常の育児休業でも分割して2回取得することができるようになります。
出生直後の育児休業でも2回分割が認められますので、男性の場合は、最大4回の分割が認められることになります。
さらに、育児休業の延長についてもその開始日が柔軟化されます。
延長開始日は子の1歳時点(1歳6ヶ月時点)とされていましたが
1歳以降の途中からでも延長育休を開始することができるようになります。
これにより、夫婦交替でも取得できるようになります。
④有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
有期雇用労働者が育児休業を取得する際は、一定の要件があります。
(1)引き続き雇用された期間が1年以上であること
(2)1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと(更新の可能性があればOK)
改正後は、(1)の要件が撤廃され、(2)のみの要件となります。
ただし、労使協定を締結することで①の要件を加えることができるので、
いままで同じ扱いにしたい場合は、労使協定の締結を忘れずに実施してください。
⑤育児休業の取得の状況の公表の義務付け
従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得状況を公表することが義務付けられます。
このように、今回の育児介護休業法の改正では制度が大きく変わります。
育児介護休業規程の変更や実務的にも変更点がたくさん出てきます。
手続等の変更点については、詳細がわかり次第お伝えしますが、
まずは改正内容について把握して準備しておきましょう。