【パワハラ】上司だけでなく部下も正しい知識を

2021/07/13 ブログ

都道府県労働局に寄せられる労働相談は10年連続100万件超。

職場内の「いじめ、嫌がらせ」の相談が平成24年以降トップとなり、平成30年度にはついに8万件を超えました。

(2020年は8万件を下回るが、それでも他の労務相談と比較してその相談件数は群を抜いています。)

それだけパワハラのリスクが高まっており、すでに一部の企業だけの問題ではありません。どの組織もなんらかの対策をおこなわなければならない状況となっております。

 

2020年6月より大企業には、パワハラ防止措置が義務付けられ、

2022年4月より中小企業にも義務付けられます。

従業員が少ない企業は1人あたりの役割が大きく、パワハラが起きたときの影響力も大きくなります。

では、実際に組織としてどのような対策を行っていけばよいのか?

今回は2回にわたって「組織内のパワハラ対策法」について解説していきたいと思います。

 

パワハラ防止措置義務の内容については、以前こちらで記事を載せておりますのでご確認ください。

 

 


 

この記事でお伝えすること

 

・上司も部下もパワハラの正しい知識を身に付ける

・パワハラの正しい知識とは?

 


 

 

上司も部下もパワハラの正しい知識を身に付ける

 

 

パワハラ予防の第1歩は、「正しい知識を身に付けること」です。

 

なぜなら、正しい知識が身についていなければ、知らない間にパワハラの加害者になってしまう可能性が高いからです。

 

その知識は、上司や管理職だけが身に付ければいいというものではありません。部下も身に付けていることが求められます。

 

 

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

 

これはパワハラ?①

仕事のできる課長が、ノルマの達成できない部下に対して「どうして、そんなこともできないんだ!」と毎日のように皆の前で怒鳴り散らしていました。

 

怒鳴り散らすことで、部下を自分の思い通りにコントロールすることができ、なんとか課のノルマを達成させていました。

 

しかし、ある日、突然部下が出社しなくなりました。

原因は「課長のパワハラに耐えられなくなった」とのことです。

 

課長は「ノルマ達成のために、熱心に指導していただけだった」と弁明しています。

 

 

これはパワハラ?②

部下が寝坊をして大事な会議に遅れてきました。

大幅に遅刻してきた部下が悪びれる様子もなく席についたとき、上司が皆の前で、

「まず謝罪しろよ!」

と怒鳴ったところ、部下は上司に対して、「これってパワハラですよね」と一言伝え、席を外してしまいました。

 

部下から「パワハラ」と言われてしまった上司はそれ以上何も言うことができませんでした。

 

後日、部下は「上司からパワハラを受けて、精神的に傷ついた。」と社内のハラスメント対応窓口に相談しました。

 

①、②ともにパワハラに該当するのでしょうか?

 

<①のケース>

このトラブルの原因は、課長に「パワハラの基本的な知識が身についていなかった」ことにあります。

 

毎日のように他の従業員の前で怒鳴り散らすことは、パワハラの「精神的な攻撃」にあたります。

このことを知っていれば、もっと部下に対して別のアプローチの方法があったのではないかと思います。

課長は、熱心に指導していたつもりが、知らない間にパワハラの加害者となってしまったのです。

 

加害者になってしまってからでは、「知らなかった」では済まされません。

このようなことが起きないように、まずはパワハラとはどのようなものか。正しい知識を身に付けることが予防の第1歩となります。

 

<②のケース>

このようなケースでも、①のケースと同じようにパワハラの「精神的な攻撃」にあたるのでしょうか。

どちらのケースも上司が他の従業員の前で怒鳴っています。

 

しかし実は、「怒鳴る=精神的な攻撃」とは限りません。

指導の一環で、ときには上司も叱ったり、怒鳴ったりすることもあるでしょう。

 

一方、部下は「怒鳴ること、叱ることがパワハラ」というイメージを持ってしまっているため、「パワハラを受けた・・・」というトラブルが起こってしまうのです。

 

②のケースの原因は部下が指導とパワハラの線引きを理解していないことにあります

 

このようなことが起こらないためにも上司や管理職だけでなく、部下にもパワハラの研修を実施することをオススメします。

 

全社員が「パワハラとはどのようなものか」を共通のモノサシを持ち測ることが大切なのです。

 


 

パワハラの正しい知識とは?

 

 パワハラの加害者というと、上司や管理職をイメージするかと思います。しかし、同僚や部下でも加害者となるケースがあります。

 

 職場におけるパワーハラスメントとは、改正労働施策総合推進法により、次の3つの要素をすべて満たすものとしています。

 

① 優越的な関係を背景とした言動であって

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

③労働者の就業環境が害される

 

この様に定義されます。

 

 

 パワハラは、上司が部下に対して行う「いじめ」や「いやがらせ」をイメージするケースが多いです。なぜなら、会社内において上司の方が部下よりも立場が上、つまり、力関係で見れば上司の方が部下よりも強いからです。

 

 パワハラの定義でいう「優越的な関係」とは、この場合「職務上の地位」にあたります。上司の方が、地位が上なのでこの関係性が成り立ちます。

しかし、この「優越的な関係」とは「職務上の地位」だけでなく「人間関係」や「専門知識」などの様々な優位性が含まれます。

 

 例えば、以下の行為もパワハラに該当するといわれています。

 

・ 職務上の地位は同じ同僚同士であっても、集団になって個人を無視するような行為

・ 職務上の地位は下位であっても、上司より専門知識や技術力があり、その優位性を利用して上司の指示を聞かなかったり、バカにするような行為

 

 つまり、パワハラは必ずしも上司から部下に行う行為だけでなく、同僚同士や、逆に部下から上司に対してもあり得るのです。

 

したがって、誰もが加害者になる可能性があります。

 

また、パワハラの定義では「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されること」とされています。

これに対しては、厚生労働省が示している「パワハラの6類型」で、次の通りパワハラに該当する行為を列挙しています。

 

 

 では、パワハラの基本的な知識を身に付ければ、問題は解決するのでしょうか。残念ながら、パワハラ研修や管理職研修を実施しても完全にはなくなりません。

 

その理由は、パワハラの原因は人間関係のこじれ、つまり、会社内(組織内)のコミュニケーションの行き違いが火種となりトラブルが起こり、それが後にパワハラへと発展するからです。

 

ということで、

次回は、パワハラ防止となる組織内のコミュニケーションの取り方について確認してみたいと思います。