【パワハラ】最も大切なのはコミュニケーション

2021/08/02 ブログ

前回の記事「上司だけでなく部下も正しい知識を」の続きです。

まだお読みでない方はこちら。

 

 

都道府県労働局に寄せられる労働相談は10年連続100万件超。

職場内の「いじめ、嫌がらせ」の相談が平成24年以降トップとなり、平成30年度にはついに8万件を超えました。

(2020年は8万件を下回るが、それでも他の労務相談と比較してその相談件数は群を抜いています。)

それだけパワハラのリスクが高まっており、すでに一部の企業だけの問題ではありません。どの組織もなんらかの対策をおこなわなければならない状況となっております。

 

2020年6月より大企業には、パワハラ防止措置が義務付けられ、

2022年4月より中小企業にも義務付けられます。

従業員が少ない企業は1人あたりの役割が大きく、パワハラが起きたときの影響力も大きくなります。

では、実際に組織としてどのような対策を行っていけばよいのか?

 

今回は、「組織内のコミュニケーション」について解説したいと思います。

 


 

最も大切なのは組織内の円滑なコミュニケーション

 

 

前回の記事では「上司も部下もパワハラの正しい知識を身に付ける」ことがパワハラ予防の第1歩という話をしました。

 

では、パワハラの基本的な知識を身に付ければ、問題は解決するのでしょうか。

残念ながら、パワハラ研修や管理職研修を実施しても完全にはなくなりません。

 

その理由は、パワハラの原因は人間関係のこじれ、つまり、会社内(組織内)のコミュニケーションの行き違いが火種となりトラブルが起こり、それが後にパワハラへと発展するからです。

 

 

例えば皆さんが部下を指導する立場だとした場合、

どちらのイメージをもって指導しているか考えてみてください。

 

「おまえが仕事でミスをするから、おれの評価が下がるじゃないか!」

「なんでこんなに仕事ができないんだ!結局おれが全部やらなきゃならないじゃないか!」

 

 

このように思いながら指導をしていると、パワハラ要因がかなり高い状態です。

 

 

「このままじゃあなたのためにならない。」

「この状態だと皆の足を引っ張ってしまい、孤立してしまう。なんとか教育しないと」

 

このように思っているのであれば、パワハラとなる要因は低いです。

 

 

<上司から部下へのコミュニケーションの取り方>

 

この2つには、相手のことを「モノ」として見ているか「ヒト」として見ているかの違いがあります。

「ヒト」を「モノ」として見ているコミュニケーションの取り方であれば、それが例え怒鳴らずに指導したとしてもパワハラとなり得るでしょう。

 

逆に「ヒト」を「ヒト」として見ているコミュニケーションの取り方であれば、仮に怒鳴って指導してしまったとしても、トラブルになる可能性は低いと思います。

 

なぜなら、そのようなコミュニケーションの取り方をしていれば、相手にもその思いが伝わり、信頼関係ができていくからです。

 

コミュニケーショントラブルからパワハラに発展しないように、上司の立場の方は次の点に注意してください。

 

・その部下に日頃どのような感情を抱いているか

・部下を「モノ」としてみていないか

 

これを注意するだけでも、コミュニケーションの取り方が大きく改善されるかと思います。

 

 

<部下から上司へのコミュニケーションの取り方>

 

次に部下が上司とコミュニケーションを取るときのポイントを確認してみましょう。

 

部下と上司がコミュニケーションをとるときに一番多い内容は「仕事の話」だと思います。

上司が部下にする「仕事の話」は、「業務の指示・命令」なのに対し、部下が上司にする「仕事の話」は「報連相(報告・連絡・相談)」です。

この報連相が下手な部下は、自らパワハラの火種を作ってしまうことになります。

 

今の上司はプレイングマネージャーが増えており、とにかく忙しく働いています。

部下からしてみれば、慌ただしく働く上司に声をかけにくい時もあるでしょう。しかし重要なこと、緊急なことは伝えなければなりません。

パワハラの火種とならないよう、部下の立場の方は報連相をするときに次の点に注意してみてください。

 

・伝える内容をまとめてから報告連絡相談している

・結論から伝えている

・「いまお時間よろしいでしょうか?」「少し相談したことがあるのですが」「急ぎでお伝えしたいことがあるのですが」といったクッション言葉を使う

 

上司も人間です。ダラダラと要領を得ない話を聞かされてイライラは募ります。この「イライラ」が積み重なり、のちにパワハラとなって爆発。

しかし実はその火種を部下が作ってしまっていることもあるわけです。

 

部下の立場の方は自らの報連相のやり方を振り返ってみてください。

 


 

パワハラ研修のススメと「褒め方」「叱り方」

 

 パワハラ研修を実施しても知識を伝えるだけの内容では、トラブルが増えるだけです。

同時に上司と部下の「コミュニケーション研修」を推奨します。

研修の目的は、主に以下3つになります。

 

「良好な人間関係づくり」

 研修の受講により良好な人間関係を結ぶことができます。人と人の心をつなぐことができます。

 

「いい企業風土づくり」

 お互いを認め合い、尊重し、笑顔あふれ、思いやりのある企業風土にすることができます。

 

「社員の成長と業績の向上」

 良好な人間関係といい会社づくりを基軸に、社員が自ら成長し、業績の上がる会社を作ることができます。

 

いずれも上司と部下との関わりがポイントになり、人間関係が良好で、風土が良い会社は、パワハラが起きにくい組織です。

 

研修は、知識伝達型よりも体験型をお勧めします。実際に従業員同士がコミュニケーションする時間を多く取れると効果的です。

 


 

相手を「褒める」ことを学ぶ

 

ちなみに当事務所が開催する研修では、従業員同士が「褒める」「認める」「感謝する」ワークを数多く取り入れています。

 

褒めることは、簡単に誰もができると思われがちですが「大人だから」「親だから」できるわけではありません。どんなことでも学ばずにできることはありません。

褒めるのには努力が必要なのです。

 

研修では5分間で誉め言葉をできるだけ書き出してもらうワークを実施しています。普段、褒めることをしていないと誉め言葉を書き出すことができません。多くの方が5分間で20個も書くことができません。

褒めることに慣れていないからではなく、褒め言葉の語彙力が足りないのです。

 

社員をヤル気にさせるために、顧客満足(CS)より先に、社員満足(ES)の向上から始める会社があります。

社員満足につながる仕組みの中で、最も効果的なのが褒めることです。研修で「褒めること」に取り組む会社が増えています。

褒め言葉を口にするのが苦手な人は、相手を認める言葉をかけるようにすれば良いかと思います。

人は自分のことを「認めてもらいたい」という承認欲求を持っています。

その気持ちを理解して積極的に認める言葉をかけるよう研修では伝えています。

 


 

叱り方にも気をつける

 

 「認める」ことの研修では、上司の「叱り方」についても教えています。

叱ることも相手を認めている行為のひとつなのです。

 

「ヤル気があるのか」と言われても、そのヤル気は目に見えません。

見えないものを対象にして叱られても、部下は何のことだかイメージできません。

仮に、できたとしても上司と違うイメージを持っています。イメージできないことは行動できないので、この叱り方では何も変わりません。

 

 良い叱り方とは、具体的な行動改善を示すことです。ちょっとした言葉の使い方です。

上司が感情的に、執拗に怒鳴ってしまうと「パワハラ」と言われてしまいます。それは、正しい叱り方を教わっていないからなのです。

 

この正しい叱り方についても研修でお伝えしています。

 


 

コミュニケーションの時間が何よりも必要

 

研修では、従業員同士がたくさんのコミュニケーションが取れるよう意識して構成すると良いでしょう。

 

そして、普段あまり話をしない他部門、他部署の人たちとコミュニケーションを取ることを繰り返すと、組織内の風土が変わっていきます。会社が、従業員同士がコミュニケーションを取れる時間を積極的に作ることが求められているのです。

 

このようなコミュニケーション研修は、単発で行っても効果はありません。特に組織風土を改善していくコミュニケーション研修は、定期的行い継続してはじめて効果があります。

 

最低でも年に4回は、従業員同士がコミュニケーションの取れる場を用意するとよろしいかと思います。。

 


 

パワハラの一番の予防策

 

厚生労働省の出している「6類型」に該当しないからパワハラにあたらないではなく、日頃のコミュニケーションの取り方に問題があるならば、そこを改善しなければ本当のパワハラ予防にはなりません。

 

繰り返しになりますが、パワハラはコミュニケーショントラブルから始まります。そのようなトラブルが起こらないようなコミュニケーションの取り方を、積極的に全社を挙げて「学ぶ」ことでパワハラの起こらない職場が構築されていきます。

 

本気でパワハラを予防するのであれば、ぜひ「組織内のコミュニケーションを円滑にすること」に注力してください。