傷病手当金 1年6か月間のカウント方法

2021/12/09 コラム

2022年1月1日より傷病手当金の支給期間の取扱いが変更されます。

 

こちらの詳しい内容については、前回の記事をご確認ください。

 

 

 

これまでは、

「支給を始めた日から起算して1年6ヶ月を超えない期間支給する」とされていましたが、

今後は、

「支給を始めた日から通算して1年6ヶ月間支給する」ことに変更される

といった内容です。

 

 

今回の改正内容で、

お客様からの問い合わせが多かったのが、通算化に伴う1年6ヶ月間のカウント方法です。

なので今回はこのカウント方法について詳しく確認してみたいと思います。

 


 

<ご質問>

これまでは、暦日で1年6か月までだったので、

例えば4月1日に支給開始となった場合、翌年の9月30日までとわかりやすかったが、

今回の法改正より、「その支給を始めた日から通算して1年6ヶ月」と変更される。

この場合1年6か月間とは具体的に何日間となるのか?

 

 


 

<回答>

まず、これまで同様初回の申請から3日間が待期期間となり、

4日目から暦日で1年6ヶ月間の計算を行い、傷病手当金の支給期間を確定させます。

 

支給期間は傷病手当金が支給された日数で減少し、

途中に傷病手当金が支給されない期間があれば、その支給されない期間の日数は減少しません。

 

つまり

 

①支給開始日から暦日で1年6ヶ月間の日数をカウント

②①で計算した日数分が「傷病手当金が支給される最大日数」

③改正により傷病手当金が支給されない日数分はカウントしない

 

ということになります。

 

実際に具体例を示しながら、

支給満了日はいつになるのか確認してみましょう。

 


 

下記のように傷病手当金が申請された場合に、支給満了日はどうなるでしょう?

 

①令和4年3月1日~4月10日 労務不能(支給期間:38日間)

②令和4年4月11日~4月20日 労務不能(支給期間:10日間)

③令和4年5月11日~6月10日 労務不能(支給期間:31日間)

 

 

上記のケースだと、

令和4年3月1日から3日までが待期期間。

令和4年3月4日から傷病手当金の支給開始日となり、

支給期間はこの日から1年6か月後の令和5年9月3日までとなります。

日数にすると、549日間です。

 

①の支給期間(38日間)後、残りの支給日数は511日、

②の支給期間(10日間)後、残りの支給日数は501日、

①の支給期間(31日間)後、残りの支給日数は470日、

 

となります。

 

例えば、

③の期間が終了した翌日から

連続して470日間労務不能であった場合は、

令和5年9月23日が支給満了日となります。

 

③の期間が終了した翌日から支給期間の合間に40日間就労した場合は、

令和5年11月2日が支給満了日となります。

 

 

改正前の内容であれば、

支給期間は令和5年9月3日まででしたが、

改正後は、このケースにように傷病手当金が支給されない期間があれば、

支給満了日がずれてくることになります。

 

今回の改正で、実務上大きく影響してくるところですね。

 

とは言え、あまり難しく考えず、

カウント方法は、

支給開始日から1年6か月後の日数を算出し、

最大でその日数分の傷病手当金が受給できると考えてもらえばよろしいかと思います。

 

したがって、

支給開始日によって多少日数が前後するため、

支給される最大の日数については支給開始となった日によって個別に確認する必要があります。

 

従業員より、「支給満了期間はいつですか?」と問い合わせがあったときに対応できるよう、

上記内容を理解しておきましょう。

 


 

ちなみに前回の記事でも触れましたが、

改正前より傷病手当金を受けている方はどうなるのか?

つまり通算化が適用されるのか否か?

の問合せも多いので再確認しておきましょう。

 

「通算化が適用されるか否か」は、

2021年12月31日において、暦の通算で1年6ヶ月経過していない場合は、

通算化が適用されます。

2022年1月1日より前に歴の通算で1年6ヶ月経過している場合は、

通算化が適用されないことになります。

 

具体的には

2020年7月2日以降、傷病手当金の受給を開始した人であれば通算化が適用されます。

 


 

今回は、法改正内容で問い合わせの多かった

「通算化に伴う1年6ヶ月間のカウント方法」について確認してみました。