【社保適用拡大】特定適用事業所Q&A

2022/05/24 コラム

2022年10月1日より社会保険加入対象となる方の条件が拡大されます。

 

現状、厚生年金保険の加入者が500人を超える事業所では、

社会保険の加入条件である、いわゆる「4分の3要件」に該当しない短時間労働者でも

下記の要件を満たす方であれば社会保険加入が義務付けられております。

 

厚生年金保険の加入者が500人を超える事業所を「特定適用事業所」といいます。

そして特定適用事業所の定義が2022年10月1日より「500人超」から「100人超」と変更されます。

 


 

短時間労働者に加入が義務付けられる一定の要件とは

 

1.週の所定労働時間が20時間以上あること

2.雇用期間が1年以上見込まれること(※2022年10月1日より雇用期間が2カ月を超えて見込まれること)

3.賃金の月額が88,000円以上であること

4.学生でないこと

5.特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること

 

 

 

改正内容の概要はこちらの記事でも書いています。ご確認ください。

 

 

今回はこの要件のうち、「特定適用事業所」について、

よくある質問を共有したいと思います。

 

 


 

特定適用事業所についてよくある質問

 

Q、厚生年金保険の加入者人数は、企業単位で判断するのでしょうか?

それとも適用事業所単位で判断するのでしょうか?

例えば、企業単位でみると、加入者数は120人。

ただし適用事業所単位でみると、本社60名、支店60名という構成です。

 

A、法人の場合は、同じ法人番号を持つ全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の加入者の総数が常時 100 人を超えるか否かによって判定します。

 

個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の加入者の総数が常時 100 人を超えるか否かによって判定します。

 

つまり今回のケースが法人であれば、企業単位で判定することになります。

厚生年金保険の加入者総数が120名ということなので、特定適用事業所となります。

 


 

Q1、加入者の総数が常時100人を超えるとは、どの時点で判断すれば良いのでしょうか?

例えば入退社の出入りが多く加入者が90人台の月もあれば100人を超える月もあります。

このような状態のときは特定適用事業所という判断になるのでしょうか?

 

A、法人事業所の場合

同じ法人番号を持つ全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の加入者総数が 12 か月のうち、6か月以上 100 人を超えていれば、特定適用事業所となります。

 

個人事業所の場合

適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の加入者総数が 12 か月のうち、6か月以上  100 人を超えていれば、特定適用事業所となります。

 


 

Q、厚生年金保険の加入者数で判断するとのことですが、

70歳以上で厚生年金保険加入者ではないが健康保険のみ加入している労働者は人数に含めるのでしょうか?

 

A、 70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません。

 


 

Q、厚生年金保険の加入者数で判断するとのことですが、今回の適用拡大の対象となる短時間労働者も含むのでしょうか。

 

A、今回の適用拡大の対象となる短時間労働者は含みません。

いわゆる4分の3要件を満たしている厚生年金加入者の人数で判断します。

 


 

Q、特定適用事業所に該当した場合、どのような手続きが必要ですか?

 

A、

(原則)

特定適用事業所に該当した場合は、本店または主たる事業所を管轄する年金機構事務センター等へ「特定適用事業所該当届」を提出します。(健保組合の場合は、健保組合へ提出)

また社会保険の加入条件を満たした短時間労働者の資格取得届も提出します。

 

(施行日までの例外)

令和3年10月から令和4年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の加入者総数が6か月以上100人を超えたことが確認できる場合は、年金機構より「特定適用事業所該当通知書」を送付されます。

したがって特定適用事業所該当届の届出は不要です。

(特定適用事業所に該当したものとして扱われます。)

社会保険の加入条件を満たした短時間労働者の資格取得届のみ提出します。

 

ちなみに

直近11カ月のうち、5か月100人を超えたことが確認できた場合は、

対象の適用事業所に対して、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」を送付されます。

 


 

Q、特定適用事業所の届出を提出した後、100人を下回った場合は、特定適用事業所から外れますか?社会保険加入の短時間労働者はどうなりますか?

 

A、厚生年金保険の加入者総数が常時100人を超えなくなった場合であっても、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。

 

ただし、加入者の4分の3以上の同意を得たことを証明する書類を添えて、事務センター等へ特定適用事業所不該当届を届け出た場合は、対象の適用事業所は特定適用事業所に該当しなくなったものとして扱われることとなります。

その場合は、社会保険加入の短時間労働者の資格喪失届も提出します。

 

ちなみに100人以下となった日以後であれば、その総数が常時100人を超えなくなった時点で提出可能となります

(実際に100人以下となった月が、直近1年のうち6ヶ月以上となることを待つ必要はありません)。

 


 

Q、施行日に「特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」や「特定適用事業所該当通知書」が送付されてきて、施行日前に、加入者総数が 100 人 を超えなくなった場合、特定適用事業所に該当したことを取り消すことはできるのでしょうか?

 

A、 特定適用事業所不該当届を、事務センター等へ届け出ることで、特定適用事業所に該当したことを取り消すことができます。

 


 

 

今回は「特定適用事業所」について、よくある質問について共有してみました。

 

現在の厚生年金保険の加入者総数が100人程度の企業様は、あらかじめ細かい内容も確認しておくことをおすすめします。